著者への賛辞と作品への共鳴の思いを、「☆ Excellent，◎ Very Good，○ Good，△ Fair，×
Poor」
の記号にて表現していきます。
９月２８日◎「クロスファイアー（上・下）」 宮部 みゆき 著 光文社文庫 2002-9-20 第1刷
念力放火能力（パイロキネシス）を持った若い女性が、人間としての適格性の欠けた
無軌道な若者を次々と処刑してゆく。
少年犯罪等法では裁けない犯罪者・社会にとって害になるような者を抹殺することが
特殊能力を与えられた自分の使命と考え、どんな武器よりも強力な”念力放火能力”
で処刑を続ける主人公。一方、”ガ-ディアン”と呼ばれる謎の組織と警察が絡み藍
物語は進展。ガーディアンと主人公は目的を同じくするが、ガーディアンは秘密裡に
処刑を進めるが、主人公は痕跡を残さざるを得ない。子供の頃、自分の弟を念力放火
能力で殺害さえた刑事は、ついに主人公の存在を突き止める。社会の正義とは、人の
命とはを問う力作です。ついつい引き込まれて読んでしまいました。「読書２００２年上期詳細」ページ先頭
９月２７日☆「カリスマ」 佐野眞一著 新潮文庫 2001ｰ5ｰ1
ダイエーと中内功社長の生まれてから、現在までを詳細に記述してあります。
著者が、目指す、戦後は？高度成長は何だったのか？の疑問はよく解ります。
戦後のゼロの状態から、物が溢れる高度成長を経て、私達は、日本は、今、
豊かになったのだろうか？との問いかけは、重く伝わります。
私が勤めている会社も、現会長が、ロタ島から引き上げてから始めた会社だけに
中内功社長もダイエーの拡大も、当社と重ねて、読見ました。
ダイエイーと言うよりは、現在の日本そのものの悲鳴です。
「読書２００２年上期詳細」ページ先頭
９月１８日◎「人を動かす！ 話す技術」 杉田敏著 ＰＨＰ新書 2002ｰ7ｰ29
「実は私は、・・・ 」で自己紹介をすることで、ひとの知らない側面をＰＲする。
「コミュニケーションとは、こちらの思うことを相手に伝え、相手にアクションを取ってもらう事！」
相手の話を聞けるのは、１０分まで・・・後は、ｓｐａｃｅ ｏｕｔ
コミュニケーションのﾌﾟﾛｾｽの４つの要素
Ｓｏｕｒｃｅ（送り手） Ｍｅｓｓａｇｅ（メッセージ） Ｃｈａｎｎｅｌ（ﾁｬﾈﾙ） Ｒｅｃｅｉｖｅｒ（受け手）
ＳＭＣＲモデルとも呼ばれる 最近はこれにＥ、Ｅｆｆｅｃｔ（効果）が加わった。
ｺﾐｭﾆｹｰｼｮﾝの基本はｋｉｓｓ
Keep it Simple and Specific でポイントは３つに絞る
説得の要素は「エトス」「パトス」「ロゴス」
「エトス」は能力、信頼性、ダイナミズム
「パトス」は、感情に訴える
「ロゴス」人を動かす、ロジック
「やさしいビジネス英語」１９９７年３月号の「訪れ」に載った、小笠原さんから、
の紹介で著者の存在を知っていました。今回の書籍で、「目的を持って、伝えたいことを持つ」
事が大切と再認識いたしました。 「読書２００２年上期詳細」ページ先頭
９月１７日◎ 「老いてこそ人生 」 石原 慎太郎 著 幻冬舎 2002-7-25 第７刷
Ｋ氏もまもなく50歳代。そろそろ老後が気に係る年頃です。
本書はやや著者の唯我独尊というか、自慢話があるものの、正鵠を得たことが多く書
かれているように思います。
老後を左右するのは精神力、いや己を真摯に見据える態度と、謙虚な姿勢といえま
す。
それと、やはり健康第一の生活でしょうか。
死は人に等しく皆に1回だけ訪れます。死に直面して平静でいられる人は誰もいませ
ん。しかしそれを和らげる手段はありそうです。
それは当人の心得と覚悟とは著者の弁です。 「読書２００２年上期詳細」ページ先頭
９月１７日 「文芸春秋十月号 」
特集は「アメリカ不信」
落日・アメリカに頼るまい・アメリカバブルの崩壊・ブッシュ王朝の放蕩息子・グ
リーンスパンも神ではない・・・・・・等々。
これを読むとアメリカの時代は終焉との感を持ちますが、さて実態はどうでしょうか？
これからの数年間でそれを証明しそうな気がします。
今月号はあまり面白くなかった、というのがＫ氏の読後感でした。 「読書２００２年上期詳細」ページ先頭
９月１４日 ◎「私の体験的ノンフィクション術」 佐野眞一著 集英社新書 2002-11-21
「大文字」の世界のうさんくささ、より「小文字」の世界がいかに重い、人間の生の声が
ある。
また、ノンフィクションとは、固有名詞と動詞の文芸である。とも言い切っています。
東電ＯＬ殺人事件を読を、初めて著者を知りました。その、視点の確かさ、世界観の
深さに、この本をてにとって、改めて、奥行きの深さを感じました。
この本に、これまでの著書の引用があります。少しずつ、手にとって、追いかけ始め
ました。 「読書２００２年上期詳細」ページ先頭
９月 ８日 ◎「メガバンク 破綻・再生の法則 - 四大銀行は死命を賭けた最終決戦へ -」 須田 慎一郎 著
角川 ＯＮＥテーマ21新書 2002-8-1 初版発行
三菱フィナンシャル、三井住友、みずほフィナンシャル、UFJの四大銀行に関する分
析とその将来像をわかりやすく書いている一冊です。
これを読むと四大銀行と言えども安閑として居れない状況ですが、逆にきちっとした
戦略と方向性をもつところは将来の発展もあると言えます。
それにしても日本の銀行は相当クリティカルなところまで追い詰められています、と
くにみずほは。
これからの銀行は預金と融資だけではなく、消費者金融（コンビニのATM)、生命保
険、損害保険を含めたサービス提供の優劣がその死命を制するといえます。
2004年頃には外資との提携があり得るし、将来とも今の四大銀行の体制であり続ける
ことはなさそうです。我々も賢い銀行選択で小金を守らねば・・・・。「読書２００２年上期詳細」ページ先頭
８月３１日◎「-投資アドバイザー- 有利子（アリコ）」 幸田 真音 著 2002-7-17 初版発行 講談社書店
証券会社の投資アドバイザー有利子が主人公。知らず知らずのうちにファンドマネー
ジャーの仕事や投資の仕組みが判り、内容も結構コミカルで気楽に楽しめる経済小説です。
親の生き様をみて子は育つと言うか、知らず知らずのうちに子供は親を見ているので
すね。有利子の父は有名なファンドマネージャーだったが、会社の資金運用に失敗し
自殺してしまう。その体験が有利子のその後の人生を決めてしまっているような気がします。
「読書２００２年上期詳細」ページ先頭
８月２９日◎「亡国のイージス(上・下）」 福井晴敏 著 講談社文庫 2002-7-15 第1刷
文庫本２冊、1100ページの大作です。
海上自衛隊の最新鋭護衛艦が東京を照準にミサイルを設定する前代未聞の事態に！
ありそうでありえないような話ですが・・・・・・。
自衛隊に息子を殺され復讐に燃える護衛艦の艦長と、北朝鮮の体制側に失望した特殊
スパイが協力しとんでもない事態を演出するが、自衛隊の特殊部隊の隊員が単身で抵
抗を試みる。正に東京湾を舞台にした戦争と言えるが、日本人(自衛隊員）は、真の
戦争の経験がなく、戸惑いながら、政府・体制側に復讐を試みるストーリー。
法律の制約や経験がない等でなかなか戦争と割り切れない日本人の姿が表現されてい
ます。近未来、こんな事態が起こらないことを祈るばかりです。
「読書２００２年上期詳細」ページ先頭
８月１６日◎ 「東電ＯＬ殺人事件」 佐野真一著 新潮社 2000ｰ5ｰ10
渋谷円山町と奥飛騨の御母衣ダムとの繋がり、小田急井の頭線踏切と
山梨大月近く、父の実家近くの風景との酷似などが全体像として頭に入りました。
とても大それた事件が、実は、誰にでもある、とても、身近な問題として、感じられます。
文中に何度も出てくる「小堕落」「大堕落」「堕落論」の意味が、最後は、他人の事では無く、自分の
事として感じられます。
最後の精神科医 斎藤学氏との対談で、「これは自己処罰」と言っている。「父親に比べて見下げ果てた自分」
「汚い自分」を処罰したいという衝動から行動している。との説明で、本人の気持ちのつらさが伝わりました。
未だに、若いＯＬの心を掴んでいるいる理由は、「この事件が、他人事では無い社会に、男性社会に生きている」との
実感があるからと思いました。 「読書２００２年上期詳細」ページ先頭
８月１５日 「文芸春秋
９月号」
納得した記事は 「優秀企業ベスト経営者の能力」
経済産業研究所 上席研究員
新原 浩明 著
評価： ◎
日本の大企業の多くは、所謂”グローバルスタンダード”別の言い方をすれば”アメリカ式経営”手法を
取り入れて来ていますが、これがなかなか上手くいっていないようです。
本家のアメリカでも、エンロンやワールドコムに代表されるように、アメリカ式経営にも綻びが見え始めて、
疑問を呈する人も出始めています。
そこで著者が日本を代表する優良企業を調査の結果、それらの企業には共通項あるとのこと。以下列記すれば
①
トップが取組む事業範囲を明確に認識している
②
トップが論理的であること＝自分の頭で考えて考えて考え抜いていること
③ トップに"傍流の時代”があったということ
④
危機をチャンスに転化する、トップに不屈の精神があること
⑤
身の丈に合った成長を図り、事業リスクを直視する経営方針であること
⑥
経営者が持続性のある規律の文化を企業に埋め込んでいること。
を挙げています。
以上を纏めれば、「自分たちが分かる事業を、やたら広げずに、愚直に、真面目に自分たちの頭できちんと考え抜き、
情熱をもって取組んでいる企業」といえます。
至極まっとうで誰にも理解出来ることですが、翻って自分の会社はどうかと言えば６つ位？？？？？？が付くように
思うのですが・・・・。
芥川賞受賞作、吉田 修一
著作の「パーク・ライフ」が全文掲載されています。
評価： ○
日比谷公園を舞台に、一組の偶然知り合った男女と、彼らに接点のある人々の日常的出来事を描いた作品です。
スターバックコーヒーが主たるアイデンティーであったり、登場人物があまりに日常的過ぎるいうか、平板すぎると言うか・・・・・・。
自分か誰かの日記でも読んでいるような錯覚を受けるような作品です。これが小説かとの印象も受けますが、こじんまりと
纏まった作品でもあるように思います。
石原慎太郎の「芥川賞選評」が気になりましたので、一部抜粋します。
「私たちの属する国家社会の衰退を感じさせる昨今だが、どうもこの国の文学の方も衰退の感を否めない。」
芥川賞も曲がり角に来ているように感じた次第です。 「読書２００２年上期詳細」ページ先頭
８月１４日○ 「週刊 続日本百名山（全30冊） 」 朝日新聞社 刊
深田久弥の”日本100名山”に続く、”200名山”を週刊誌ベースで30回で紹介してい
ます。
深田クラブ選定の日本200名山とあります。
一山を
① 深田久弥もしくは他の登山家による山の紹介
② 地図、概念図
③ 温泉・宿泊施設を含めた周辺の紹介
④ その山で見ることの出来る高山植物
等からなっています。
100山のうち、22座に登っています。
秋田駒ケ岳、焼石岳、栗駒山、針の木岳、燕岳、烏帽子岳等々百名山に入ってもおか
しくない山もありますが、写真を見てもちょっと登ぼろうとする気にならない山もあ
ります。
購入の動機は、200名山の登山用資料との意味合いもあります。 「読書２００２年上期詳細」ページ先頭
８月１０日 ☆ 「平成三十年（上・下）」 堺屋 太一 著 朝日新聞社 刊 2002-7-１ 第１刷
上巻のサブタイトルが”何もしなかった日本”、下巻が”天下分け目の「改革合
戦」”。
登場人物を著者得意の”戦国時代”の武将に模して、なかなか面白い予測です。
何もしなかった日本は、バブル後の”失われた10年”を平成30年まで更に十数年続け
ることになります。
下巻では、織田信介産業情報大臣が明智三郎官房長等を使って改革の嵐を巻き起こす
が・・・・。
少子高齢化社会の到来で日本はシンガポールや台湾にも追い越され、アジアの二流国
家に成り下がり我々の老後は悲惨です。
本書は未来への警告の書ともいえます。改革をやり抜き真の知価社会を作らねば、ホ
ントに本書のような日本になってしまいます。 「読書２００２年上期詳細」ページ先頭
８月１０日 ◎ 「太宰 治に聞く」 井上 ひさし 著 こまつ座 編著 文春文庫 2002-7-10 第１刷
太宰の人生を知人等の証言と、架空の太宰と著者の会話を織り交ぜ、太宰の玉川上水
での心中の謎に迫るものです。
巻末にこまつ座の公演「人間合格」に関する写真や台本も一部掲載されています。
そういえば日下さん、紀伊国屋でこの演劇見ましたね。なかなか面白かった記憶があ
ります。 「読書２００２年上期詳細」ページ先頭
７月２８日◎「悪魔のパス 天使のゴール」 村上龍著 幻冬舎 2002ｰ5ｰ10
サッカーの試合を、ここまでの臨場感をもって、再現出来、楽しめる事に
感心しながら一気に読みました。
また、イタリア、フランス、オランダ、キューバの各都市へ一緒に移動しながら、
食事を、ワインを楽しんでいるかの錯覚に捕らわれました。ヨーロッパに何十年も
生活したような、不思議な親近感を感じさせる文章にも、引き込まれました。
「読書２００２年上期詳細」ページ先頭
７月２４日◎「「考える子ども」の育てかた」 林 望著 ＰＨＰエル新書 2002ｰ6ｰ21
家庭を経営するのは、親の責任。
ほら、楽しいでしょう？ と、ここからすべて始まりたいというのが著者の信念
絵や書や文章は大人になってから初めても十分追いつくが、音楽だけはこどもから
始めないとどうしても追いつかないところがある。しかも、しっかりとしたプロに、マンツーマンで
習うのが基本・・は、納得です。ｒのピアノ聞き取りも、大人になってからでは出来ない
と実感していました。
福沢諭吉の『名誉ある独立』を目指しているのが、快い響きとなって全文に感じます。
ただし、近所付き合いも、親戚付き合いも、原則として一切しない・・ここまでは、ついて
いけないなとの感じも受けました。 「読書２００２年上期詳細」ページ先頭
７月２２日 「文芸春秋8月号」
特集は「中国不信」総力特集109ページです。
中では京都大学教授中西 輝政教授の”日中国交回復幻滅の30年”が印象的というか
共感を覚えます。田中角栄と大平正芳による交渉の稚拙さが、今の日中間の懸案の発
端となっていることが少なくありません。戦時賠償＝ODA、尖閣諸島問題、教科書。
南京事件を始めとする戦争責任・・・。
他には”夫・中川一郎は他殺でした”という夫人のインタビュー記事。何で今ごろと
いう気もしますが、事が真実であれば（ほんとうのことを言っていると思います）、
鈴木宗男は即刻”市中引き回しのうえ、。打首、獄門!!です。「読書２００２年上期詳細」ページ先頭
７月２１日☆☆「普段着の住宅術」中村好文著 王国社 2002-4-3
こんなに楽しい気分になったのは、何年ぶりだろう。良いとか悪い以前に
楽しそうに家庭を、会話を、家の造りを「覗いている著者の視線が羨ましく思いました。
何で今まで出会わなかったのだろうと自分の視野の狭さを反省しました。
関満博さんといい、中村好文さんといい、今年の出会いは大きい、自分の見方の再セット
になる人と興奮にしながら思います。☆の数以上の、インパクトが有りました。
今日は息せき切って「住宅巡礼」を二子玉川まで息子と探しに行き予定通りゲットして、
ルンルン帰宅しました。 「読書２００２年上期詳細」ページ先頭
７月１５日◎「図解仕事人」 久恒啓一著 光文社新書 2001ｰ12ｰ20
学生の時は、「読み、考え、書く」で社会人は「理解し、企画し、伝達する」。その
根底は、コミニュケーションにある。とのスタンスで、そのために「鳥の目」で図解する。
著者の駆け出しのビジネスマン時代から、大学教授として活躍する現在までの
経験を、思いを整理して、まとめてあり、とても、参考になります。
「生命」「人生」「生活」を総称した、「ライフコンシャス」を提唱しています。
「ライフ」を意識の中心に置くことで、より充実した人生を歩めるとの考え方です。
著者の真摯な取り組み、そのものが結果を生んでいると思いました。「読書２００２年上期詳細」ページ先頭
７月１４日◎「ボーダーライン」 真保 裕一 著 集英社文庫 2002-6-25 第１刷
ロスの日系探偵事務所に勤務する探偵永岡が主人公。
生まれながなの殺人者はいるのか。父は息子（殺人鬼だとしても）を殺せるか。そこ
には家族とは何かといった、重層的テーマが横たわっている重みのある一冊です。文
庫本で600ページの大作です。映画もヒットしたホワイトアウトと同じ著者ですが、
傑作ハードボイルド作品です。探偵の永岡も、その恋人も、殺人鬼の安田信吾も、そ
の父も仕事をなげうって、みんなボーダーラインで、人生の決断をしているのかも・
・・・。 「読書２００２年上期詳細」ページ先頭
７月１３日○「ビジネスマンのためのインド入門」 マノイ・ジョージ著 鶴岡雄二訳 新潮ＯＨ！文庫
１９９０年にインド旅行。そのお陰で、最近中国とインドは、情報産業で著しい進歩があるが
もう昔のインドでは無いのか・・・との質問を受けました。あの、ニューデリーからデリーへの路、
ベナレスの駅ﾎｰﾑ、路上でも、カルカッタの広場でも、とにかく人と、自転車と車が一体となり
流れる様子は、今でも、衝撃として残っています。わずか１０年程で変わるはずが無いとの
気持ちもありますが、現実はどうなっているかを確認したくて手に取りました。
感想としては、変わりつつあるが、地域差が大きい。特に、ボンベイを中心として発展する西、
カルカッタ等の遅れた東の様子です。同じ時期を前後して、中国も旅行しました。解放間もない
中国でも、どこのホテルもタバコは、マールボロ等の米国産でした。インドは、その地域の最高の
ホテルでも、メイドインインディアしか置いていませんでした。外国に対するあこがれの度合いの違いと
インドのビジネス界は、安全な湖で泳ぎながら育てられたの意味が分かりました。大海での泳ぎの
スタミナはこれから・・と思います。インドも中国もどちらも、人口が多いので、エリートはいます。
その国の、どこのクラスをみるかで国の話は全く違って来ると改めて思いました。
「読書２００２年上期詳細」ページ先頭
７月 ７日○「寺田寅彦は忘れた頃にやって来る」 松本 哉 著 集英社新書 2002-5-22 第１刷
ご存知のとおり寺田寅彦は”天災は忘れた頃にやって来る”の名言を残した科学者です。
氏の「実験物理学者」としての活躍はもちろんですが、例えば”電車の混雑””さい
ころの目の出方””トンビと油揚”等々、ちょっと科学的には説明できぬことを科学
的に説明する観察眼と思考の柔軟性には驚くばかりです。さらには夏目漱石の子弟と
して、正岡子規との交友もあり、随筆家としても面目躍如です。
読後感： 今の世の中、学者もサラリーマンも自分のことだけ、専門のことだけに目
を集中過ぎでは・・・・。一歩下がって広い目で物事を見れば、別の世界が見えてく
ると感じた次第です。 「読書２００２年上期詳細」ページ先頭
７月 ６日○「美しいクロールをめざして！ ６ビート泳法のＡｔｏＺ」 間宮勇著 2001ｰ10ー25
３０代の初め、関内のＹＭＣＡで、クロールのブレスが出来た時の喜びを思いだし、あきらめかけていた、
クイック・ターンにチャレンジしてみようと思い、手にしました。
内容は、基礎の基礎から分かり易く、自分でチャレンジ出来るように書かれてあります。
５０の手習いならぬ、４０の内に、著者の言う、真、善、美に従い、マスターしたいと思います。
秩父市のスイートショップ クリトムにてゲットしました。 「読書２００２年上期詳細」ページ先頭
７月 ２日○「ライオンは眠れない The Lion Cannot Get To
Sleep」 サミュエル ライダー 著
実業の日本社 刊 2002-5-24 初版第７刷
作者は巷間言われているように、霞ヶ関の官僚との印象を持ちました。
英国生まれの日本通とは本書に書かれている作家の姿ですが・・・・。
内容は、小泉政権擁護、小泉改革後押しの為の浅薄な一冊です。
小泉+石原慎太郎+田中真紀子+鳩山由紀夫の合従連衡を思わせる記述もありますが、
真紀子失脚の今となっては色あせて見えます。
本書を読むと益々将来に不安を掻き立てられます。 「読書２００２年上期詳細」ページ先頭
７月 ２日☆「奇貨居くべし ” 黄河編>” ” 飛翔編>
” ”天命編> ”」 宮城谷 昌光 著 中公文庫2002-4-25初版 発行
最初の２巻の評は既報のとおりです。
最後の天命編まで読んで評価は☆です。
主人公の呂不韋、始皇帝の父とも言われる人物です。
商人から身を起こし、最後は秦の宰相になるが、彼の治世は一言でいえば
”人間尊
重の政治>
”と言えます。
民の幸福を第一に考えた政治です。それは彼の生きた人生からも如実にわかります。
征服した地の人々から歓迎される史上初の政治家ではないかと思います。
ですから、呂不韋の秦が戦いの相手だと、敵軍は戦意を喪失し秦の治世下に入ろうと
するようになります。
まさに今の日本に求められる政治家ではないかと愚考するしだいです。この時代（紀
元前200-300年）、人民からこれほど慕われた為政者はいないと思います。
それにしても、中国は為政者が変わると社会も劇的に変化します。呂不韋の時代はす
ばらしい時代だったと思います。中華の人々にとっては・・・・。
でも彼の子と思しき始皇帝の時代になると中国は逆戻りします。世の習いですね。
本書は史記や呂氏春秋に基づくフィクションですが、戦国時代の中国は結構面白い題
材があります。
ますます著者から目が離せません。
７月０１日○「中国・蜀と雲南のみち 街道をいく２０」 司馬遼太郎著 1987ｰ4-20初版 2002ｰ1-30 第17刷
１９８８にラサに行こう、で、北京と成都でﾁｹｯﾄを粘って探し、やっと手に入れた感激は、忘れません。
そのため、成都は、ラサの入口であり、出口の印象で、ﾍﾞｰｽキャンプのｲﾒｰｼﾞでした。
成都は、あの三国志の蜀の国であり、劉備玄徳、諸葛孔明が治めた国とは全く知りませんでした。
当時のメモを見返しみると杜甫草堂だけ訪ねて、あとはバザーを徘徊しています。私が泊まったホテルも
司馬氏と同じ、錦江賓館（ＪＩＮ ＪＩＡＮＧ ＨＯＴＥＬ）でありました。もう一度機会を作って、司馬氏の視点を
街を歩きたいと思いました。
「読書２００２年上期詳細」ページ先頭